幼女殺人の犯人の妹を、トラウマを抱えた刑事、勝浦(佐藤浩市)が守る話、「誰も守ってくれない」、を観てきました。ネタバレしますよ。

長男の逮捕に殺到するマスコミとその容赦ない取材、家宅捜索中に自殺する母親、 兄がクズなら妹もクズだと罵る警察、甘い言葉で少女を誘い出し裏切る恋人、 興味本位のネットの執拗な攻撃、事件の遠因となった父と兄の対立、 妹、船村沙織(志田未来)からみれば全てが悪意に満ちています。
そして、この映画では3つの家族が登場します。 それぞれが不条理な悪意・事件の関係者であり、 一度は崩壊し回復しつつある家族、崩壊一歩手前で最後の手当がされようとする勝浦の家族、 そして主人公、沙織の家族がまさに先の悪意に翻弄され、崩壊しつつある家族の一員として描かれます。
映画は、凶悪事件やマスコミ、ネットの暴走を横糸に、家族の回復が縦糸として編み込まれてつくられていて、エンディングで勝浦は家族を守ることを沙織に教えます。それは、道徳としての教えというよりも、自分の経験を、同じ辛さを味わう15歳の少女に自分の思いを伝えるかのようです。 その意味で、この映画のテーマの一つは回復、家族の回復と言えるかな、いい映画だと思います。泣いちゃいましたし。
また、映画の他の面、例えば脇役の松田龍平はかなり良い演技。台詞は決して多くないし、何を考えているのか分からないような雰囲気なのに、物語の中で的確な動き、仕草で観客を魅了します。 例えば、「だいまじん」を逮捕するシーン、無言でボルトクリッパーを持つ背中にはちょっとしびれた。
他の役者さんも芸達者ですし、なにより監督の演出はかなり演技力を要求します。 佐藤浩市と志田未来の顔をアップにして目の演技を要求しますからね。そういう意味でも、ごまかし感の無い映画です。ただリアルかどうかとは別。ネットとか結構ステレオタイプな描き方ですけど、あの怖さは背筋凍ります(笑)
総合して、いい映画です。観たら答えがでるような映画じゃないです。
